インプラントや矯正治療など、そもそも自費でしか行うことができない手法のものもありますが、一般的な治療を行っていく中での保険診療と自費診療の大きな違いは、用いる材料の違いです。
保険診療は、どんな所得のどんな方も、全員が同じ費用で治療を受けることができます。
ただしそのかわり、治療に用いられる材料は安価な材料に限られているわけです。
安価な材料だと、何が問題になりうるかというと、治療を行った歯の治療後の運命です。
安価な材料は、どうしても精密に製作できないので、詰め物や被せ物でしっかり治療してもどうしても隙間ができてしまう為、 将来的にまた虫歯になるリスクが高かったり、欠けたり、変色してきて見た目が悪くなったり、というトラブルが起こることが多くなります。
ですが、 必ずダメになるということではなく、リスクの問題です。
しかし残念ながらトラブルが起きた歯は、再度削ることになるため、歯の寿命は縮んでいくことになるのです。
そうした2次的な虫歯やトラブルのリスクを低くして歯を長持ちさせていくことを可能にするために、選ばれるのが、自費の材料を用いた自費診療です。
保険対応の詰め物、被せ物
金銀パラジウム合金
金銀パラジウム合金は、保険診療で使用できるという点においては非常に優れた材料です。
しかし材料の性質上、高熱で溶かして型に流し 込むことで詰め物や被せ物の形に製作していく過程で、冷えて固まる際に収縮してしまいます。
口腔内にはめ込む際や、被せる際にはこの隙間は埋めることができないので、どうしても歯と製作物の間にスキマができてしまいます。
虫歯再発のリスクは「非常に高め」
毎日の歯磨きや、定期検診の受診は必須です!
インレー、クラウン治療に使用可能。
金パラ製品の金属組成・成分としては、金12%、パラジウム20%、とJIS規格(JIS適合品)で定められており、銀50%前後、銅20%前後、その他インジウムなど数%が含まれています。
- 保険診療で使用可能
- 金属なので割れたりしにくい
- 金属アレルギーの原因になりうる(パラジウムはアレルゲンになりうる可能性が高い)
- 歯茎に色がついたり、色が透けることがある(ブラックマージン)
- 製作過程で誤差が生じやすく、歯との間に隙間ができてそこから2次的な虫歯になるリスクがある。
CAD/CAM(クラウン)
材質:ハイブリッドセラミックのブロック
- 部位によっては保険適応(最近前歯部も保険可能になりました)
- 色が白い
- 保険の決まりで、使用できる部位に制限がある
- 強度はあまり強くないので割れるリスクがある
- 色が単色
- プラスチックなので経時的に着色してきてしまう
金銀パラジウム合金より製作時の誤差は抑えられます!
CR(コンポジットレジン)
治療前 | 治療後 |
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咬合面(溝の部分のみ)にカリエス →小さめの虫歯 | 保険診療 CR充填 |
比較的小さな虫歯治療(CR治療)の際に使用する白色のプラスチックの材料。
- 安価
- 白い
- 脆いので、気づかないうちに欠けたり、割れたりすることがある
そこから2次的な虫歯になっていることがある - 着色してくるので見た目があまりよくない
- 強度的な問題から、大きな虫歯に対してはIn、On、Cr治療が必要になる
対策:CRの上位材料である、ハイブリッドセラミックを使用する。
小さいうちに早期発見、早期治療ができる場合は歯を削る量が少なくて済むケースが多いです!
このように保険でできる治療には利点、欠点があるのでそれをしっかり説明した上で治療していきます。自費治療ではなくてもできる範囲で最善の治療をしていきますので気になる点がありましたらお気軽にお聞きください。