歯の噛みあわせと身体の意外な関係
「不定愁訴」は、何が原因かわからない(原因がわからないけれどなんとなく体の調子が悪い状態)と呼ばれる症状です。
「不定愁訴」は実は、噛み合わせの悪さが引き起こしていたという場合も多いのです。
当院では、噛み合わせ専門講師が患者様一人ひとりの噛み合わせの分析し、最適な噛み合わせへと導く治療を行っています。
噛み合わせが体に与える悪影響はさまざまあり、以下に噛み合わせと体の意外な関係についてご紹介させていただきます。
- 胃腸障害
- 良く噛むことは、胃腸の消化を助ける重要な働きがあります。
歯の噛み合わせが悪いと、噛む回数が極端に減ってしまうため、唾液の分泌も減少します。
食べ物は、歯で細かく噛み砕かれ唾液と混ざりあった状態で胃腸に消化・吸収されますので、噛む回数が少ないと細かく噛み砕かれないため、胃腸への負担が増えてしまうのです。また、唾液が分泌されると、神経回路を通じて胃液を分泌するように命令がでます。
噛む回数が少なくなると、消化のために重要な働きをする唾液と胃液が少なくなるため、胃腸へかかる負担が大きくなるのです。
- 肥満とも関係する
- 人間は、食事を摂ると脳が血液中の糖分を感知して、満腹中枢に知らせることで満腹感を抑制しています。
良く噛まずに早食いをすると、必要以上に食べ物を食べてしまっていますので、血液中の糖分が満腹中枢を刺激する前に過食状態になっています。
さらに、歯の噛み合わせが悪いと、すぐに顎が疲れてしまうため、知らないうちに良く噛まなくても食べられるような、軟らかい食べものを好んで食べるようになります。その結果、肥満体質になってしまうのです。
噛む回数の多いものや、硬いものをできるだけ食べ、栄養のバランスがとれた食事をとることで、肥満を予防するためにも大切になります。
- 噛みあわせが正しくなることで顔のバランスが良くなる
- 正しい噛み合わせは、顔のバランスを良くします。
噛み合わせが悪いと、顔の左右のバランスが崩れてきます。
いつも同じところで噛んでいたり、片側だけで噛むクセがあると、バランスが崩れるので気をつけましょう。
噛むことで顎の骨や筋肉に刺激が加わり、発達を促す作用がありますので、片側だけで噛んでいたり、虫歯や噛み合わせの悪い状態でいると、それが原因で顎の骨や筋肉が片側だけ発達し、左右のバランスが崩れてしまいます。
できるだけ両側でバランスよく噛むように、日ごろから習慣をつけましょう。
- 噛むことで頭が良くなる
- 実は、脳にとって噛む行為は、とても重要な働きをしています。
噛むことで、刺激が加わり脳の活動を活発にしています。
これは脳へ適度な刺激と、筋肉の活動による感覚受容器からの感覚情報が、脳を刺激し活動を活発にしているからです。
噛む行為と大脳の活発な活動により、血のめぐりが良くなって、新鮮な血液が大脳の働きをさらに活性化します。
噛む行為は、頭部において唯一の運動です。
運動をして全身を動かしていたり、食べ物を噛んでいる時は、眠くなりませんよね。
それはつまり、噛むことで大脳を活性化し、記憶力、思考力、判断力、注意力などを高め、大脳の機能を著しく活性化しているからなのです。
噛む刺激は、お子様だけではなく、脳を活性化するため、老化が原因でおこるボケ予防にも効果があると言われています。
- 集中力とストレス
- 集中力やストレスには、噛み合わせが大きく関わってきます。
噛み合わせが悪いと、全身のバランスが崩れてしまい体の不調を引き起こすことがあります。
噛み合わせが悪いことが原因でストレスとなり、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、冷え性などさまざまな不調が起こります。
また、噛み合わせの悪い人は、アレルギー体質の割合が高いともいわれています。
花粉症やアトピーなどアレルギーの直接の原因は、身体の免疫細胞の過剰反応が原因で起こると言われていますが、ストレスも大きな要因の一つとして考えられています。
噛み合わせが悪いと、無意識のうちに身体にストレスがかかるため、このようなアレルギー症状にも悪い影響を与えていることがあるようです。
このように、無意識のうちに身体の内側から生まれるストレスは、なんらかの形で身体の症状として表れます。
スポーツと噛み合わせの関係
歯の噛み合わせと、スポーツパフォーマンスの関係は、あまり知られていないのではないでしょうか?
スポーツにおいて歯の噛み合わせが悪いと、以下のような影響を及ぼします。
噛み合わせが悪いと噛む力(咬合力)が減り、あらゆる運動能力が低下します。
また、歯の噛み合わせのバランスが悪いと、重心動揺が大きくなり体のバランス感覚が悪くなります。
さらに、スポーツ用のマウスピースを装着することで、怪我の予防や筋力・バランス感覚が向上するといった研究報告もあります。
つまり、アスリートの命であるバランス感覚や運動能力は、歯の噛み合わせや健康管理そのものと密接に関連していると言えるのです。
噛みあわせが悪くなる原因
歯はあごの骨との間に、歯根膜というクッションがあります。
この歯根膜があることで、硬い物を食べても、脳に衝撃がいかないようになっています。
歯は食べ物を噛むとき、垂直、水平、前後の3次元に動いています。
さらに大事なのは、歯根膜の中に感覚受容器(センサー)が入っているということです。
歯は食べ物を食べたり、発音に関係するだけではなく、物を噛んだ刺激(気持ち良い、気持ち悪い)を歯根膜のセンサーが瞬時に感じ取り、脳に伝達する役割りを持っています。
さらに、その刺激が瞬時に脳から心身の各部に伝達されるため、何らかの不調を及ぼすことがあります。
また、心身に異常(不調)があると、その不快な刺激が脳に伝達され、脳から歯へと伝達されます。
歯はその刺激を受け取ると、痛みや腫れなどの症状で健康を見直すよう注意を促し、これ以上ひどくならないようにすると言った大きな役割を果たします。
では次に、噛み合わせが悪くなる原因を紹介します。
- 1. 赤ちゃんからの誤った食生活
- 吸引抵抗の少ない哺乳瓶は、赤ちゃんのあごの骨格や筋肉の発達を遅らせます。
そのため、軟らかくて歯に付きやすい食べ物を好んで食べるので、虫歯になりやすくなります。
さらに、あごが十分に発達しないため、いずれ永久歯が生えてきても、出歯が生えるスペースが足りずに、叢生(歯列の乱れ)、出っ歯、受け口などの歯並びの原因になってしまいます。
- 2. 抜けた歯の放置や虫歯から
- 虫歯で欠けてしまった歯や、抜けた歯をそのまま放置しておくと、その歯に噛み合う歯が浮いてきて上下の咬合が悪くなります。
また、抜けた歯の両隣の歯は、支える力を失い抜けてしまった歯があった方へ傾いていきます。
そして、お互いに力を与えながらバランスをとり支えあっていた歯はバラバラになり易くなります。
- 3. 自然咬耗ができていないため
- 歯は硬い食べものをすりつぶす動作の繰り返しで成長と共に自然に擦り減ります。
これを自然咬耗といい、上下の歯の噛み合わせる面が丸みを帯びてきます。
自然咬耗によって、噛んだ時にかかる力が上下の歯 の歯根に対して、一直線に近いような当たりになる必要があります。
しかし、軟らかいものをよく噛まずに食べる事が多いと、自然咬耗ができないため、咬む度に歯が斜めに倒れる力を受けることになります。
- 4. 歯科治療が原因となって起こる「歯原病」から
- 歯列矯正や歯冠修復などの歯科治療によって、治療後の噛み合わせは以前より悪くなっていることがしばしばあります。
現在の歯科の現状は、習慣性咬合(歪んだ噛み合わせ)のまま治療しているということになります。
- 5. 過度のストレスから
- 失恋、失業、人間関係、仕事、受験、筋力トレーニングなどの精神的な苦痛を感じたり、過度のストレスにさらされ続けると、噛み締めや食いしばり、歯ぎしりなどをひき起こします。
その力が歯に大きな負担をかけて、歯が浮くような感じがしたり、しみやすくなるのです。