こんにちは、不動前ステーション歯科・矯正歯科の小林です!
本日は『歯周基本治療の内容』第3弾です!
〈8.限局矯正〉
歯周炎による歯の病的移動は、歯列不正(叢生・転位・傾斜等)の原因となり、咬合性外傷の誘因となります。
またブラッシングが困難であることからプラークコントロールが難しく、炎症が改善しにくいといったことが生じます。
そこで、限局矯正(localized orthodontic treatment : LOT)により限局的な歯の移動を行うことで、清掃性や歯周組織の炎症の改善を図ることがあります。
〈9.習癖の治療〉
①口呼吸
医療面接や口腔内の所見(テンションリッジ、口呼吸線など)から口呼吸が疑われる場合は、その治療が必要となります。
鼻呼吸が困難な鼻性口呼吸の場合はまず耳鼻科への紹介を行います。
歯列不正などによる歯性口呼吸により口唇閉鎖不全がみられる場合には、就寝時の口唇閉鎖を補助する手段としてサージカルテープやオーラルスクリーンがあります。
また、覚醒時には鼻呼吸を行っている習慣的口呼吸の場合には、装置を用いて口輪筋の筋機能訓練を行うことがあります。
※オーラルスクリーンとは
口呼吸を防ぐ方法のひとつ。 就寝時、口唇を閉じるために、口腔内に挿入するプラスチックなどを用いて作ったものです。
②ブラキシズム
グラインディング、クレンチング、タッピングなどのブラキシズムは、咬合性外傷を引き起こし歯周組織の破壊を招きます。
そこで、ブラキシズムの存在が認められた場合には、オクルーザルスプリントの装着により均等な歯の接触状態を回復させ、歯周組織の安静化が図れます。
※オクルーザルスプリントとは
歯列の咬合面を覆い、咬合習癖の診断・治療に用いられる一般にアクリルレジンで作製される可撤性の口腔内装置のことをいう。上下顎のいずれかの咬合面全体を覆い均等な咬合接触を付与するスタビライゼーションスプリント、前方変位型などのリラクセーションスプリント、前方転位した関節円板を整位するためのリポジショニングスプリントなどの種類がある。
他方、歯ぎしりによる歯の異常咬耗や補綴装置の破損防止を目的として用いられるナイトガードも用いられている。
③その他の習癖
舌突出癖などの舌習癖や爪や物を噛む癖は特定の歯に持続的な弱い力が歯に加わるため矯正力となり、歯の移動による審美・咀嚼機能障害の原因となります。
筋機能療法(MyoFunctional Therapy : MFT)を行うことで改善がみられることもあります。
また歯周病治療後は根面露出と加齢による唾液量の低下により根面う蝕のリスクが高まります。
頻回におよぶ食事や甘味料の摂取はさらなるリスクの上昇につながるため食事指導も必要になります。
〈10.再評価〉
再評価とは歯周基本治療後に歯周病診査(再評価検査)を行い、治療効果や歯周組織の反応性を評価することです。
その結果から治療計画の見直しや治療の効果判定を行います。
その結果歯周基本治療を再度行うこともあれば、必要に応じて歯周外科治療、口腔機能回復治療に進みます。
またこの時点で病状が安定したと判断された場合はメインテナンスに移行します。