口腔外科治療
口腔外科は主に、外科手術を必要とする歯や口内の症状を扱っています。
例えば、交通事故やスポーツ等によりできた外傷や顎の変形、また、親知らずの抜歯や口内のがんといったものです。
このほかにも、口腔粘膜疾患や口臭症といった内科的な疾患の治療をすることもあります。
病気ではなくとも、顎の内側などに硬い骨があり、入れ歯を入れづらいなどといった症状にも、入れ歯の入れやすくするための処置など対応します。
- 外傷(けがが原因の損傷)
- 交通事故や転倒事故といった原因で、唇や口内の粘膜を傷つけたり、歯を折ってしまったりすることがあります。
口腔外科は歯以外の部分、顎、頬、顎関節といったところの骨折までに対応します。
唇を切る程度であれば、局部麻酔によって縫合を行い、1週間もあれば抜糸することができますが、歯が折れるたり、歯が抜けてしまうといった症状の場合は、負傷の程度や口内の状況、また、他の歯との関連性を確認したうえで治療方法を決める必要があります。
歯が抜けた場合、大事になってくるのは早期治療です。
もし事故で歯が抜けるようなことがあれば、早急に受診をすることが肝要です。
早期に治療ができれば、歯を元の場所へ戻すことが可能な場合もあります。
また、抜けてしまった歯は、専用の保存液に浸すか、もしくは口内に含んだまま受診をしても大丈夫です。
間違ってもティッシュペーパーにくるんだりして乾燥させたり、汚したりすることは避けてください。
骨折の場合は、全身麻酔が必要となるケースが多くあり、専門施設が整っている医療機関でなければ治療ができないこともあります。
このような場合は、早急に治療可能な医療機関を紹介いたします。
- 腫瘍・嚢胞
- 腫瘍とは、細胞が自ら勝手に増殖してしまう病変のことで、傷などと異なり、放置して治るものではありません。
内服薬や塗り薬等によっての治療をすることは困難で、多くの場合、外科手術による切除を必要とします。
腫瘍には、大別して良性と悪性(癌や肉腫)に分かれ、悪性のものは早期治療を行わないと命にかかわるものとなります。
経過や症状によって、より詳細な検査や長期治療、先進的な専門治療が必要になることもあります。
大掛かりな手術や放射線治療等が必要となる悪性腫瘍については、一刻も早く専門医を受診する必要があるため、専門医療機関を紹介いたします。
嚢胞とは、液状の成分を含む袋の形をしたできもののことです。
顎や骨の中、口内の粘膜にできた嚢胞は腫瘍と同じく、自然治癒するものではありません。
手術で除去するか、切開をして処置を施すかのどちらかで治療する必要があります。
場所や大きさ等により、症状はさまざまであり、局部麻酔ですむものから、全身麻酔を必要とする手術を行わなければならない場合もあります。
腫瘍と同じく、診断による正確な状況確認を行ったうえでの処置となります。必要な場合には専門医療機関を紹介させていただくこともあります。
- 小帯切除術
- 小帯とは頬や舌、唇の内側にある粘膜と歯茎の間にある細いひだようなものです。
「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」「頬小帯(きょうしょうたい)」「舌小帯(ぜつしょうたい)」といった種類があります。
上唇小帯異常
上唇小帯は上唇と歯茎の間にあり、上唇の運動を調整し、上唇を固定しています。
小帯の位置異常の場合には、上唇運動がしにくかったり、矯正が必要になったり、食べ物の詰まりや歯磨きがしにくい事で歯茎の炎症と虫歯の発生などの弊害があります。
帯です。
舌小帯異常
舌小帯異常の定義は、口を大きく開けた時に、舌が上アゴに届かず、舌を前に出したときに、舌先が割れて2つにハートのような形になるものです。
乳幼児期の場合は、舌ヒダの付着が口の奥の方へ変化していく可能性があるので経過を見てから切除します。
舌小帯は、舌を前や後ろに動かす役目を果たしています。
舌小帯異常の障害は、
・発音(特にラ行、タ行、サ行の障害)
・咀嚼障害
・不正咬合
などがあります。
手術だけでは発音や舌の運動障害が改善されにくい場合もあります。
その場合はリハビリを兼ねて、舌の運動を手術後に行います。
親知らず
難抜歯は当院にお任せください
親知らずは一番奥に生えてくる歯で、不要な歯と言われていますが一概にすべて抜いたほうがいいわけではありません。
他院で「この親知らずは抜けないと言われてしまった」「親知らずを抜こうと思ったら痛みが耐えきれないでやめてしまった」といった患者様、当院にご相談ください。
垂直、水平埋伏智歯などの難抜歯も最小限の痛みで抜くことが可能なことが多いです。
親知らずを抜歯したほうがいい場合
親知らずは抜いたほうがいい場合と、抜かないほうがいい場合があります。
- 親知らずが少しだけ生えて、歯質が見えている
- しっかり生えているのではなく、歯質の一部だけ歯茎から親知らずが露出している場合は、虫歯や歯周病を引き起こし痛みがでるため抜歯したほうが良いです。
- 親知らずが歯並びに悪い影響がある
- 親知らずは生えてくると、手前の歯を押して歯並びを悪くしてしまっている場合があります。
- 親知らずが噛んだ時歯茎に当たる
- 人の歯は上下の歯が噛み合うようにできています。
しかし、親知らずは、バラバラに下だけや上だけ生えてきたりするので、歯茎や頬の粘膜を傷つけてしまっていることがあります。
- 親知らずが虫歯や歯周病になっている
- 親知らずは、歯ブラシの毛先があてるのが難しく磨きにくいので、虫歯や歯周病になりやすいです。
しっかり生えた親知らずでも、虫歯や歯周病になっているなら抜いたほうがいいでしょう。
親知らずを抜歯しなくてもいい場合
親知らずを健康な状態で残しておくと、他の歯が抜けてしまった時に再利用できる場合があります。
- 上下とも健康な状態でしっかりと親知らずが生えている
- 上下とも健康な状態で親知らずが生えている場合や、しっかりと上下が噛み合って機能している場合は抜く必要はありません。
- 完全に骨に埋まっている
- 歯茎から全く露出していない親知らずも、基本的には抜く必要がありません。
- 矯正治療で親知らずを良い位置に動かせる
- 矯正治療で正しい位置に動かすことができる場合があります。
親知らずの生えている位置にもよりますので、当院に一度、ご相談ください。
親知らずを抜歯した後の症状
親知らずを抜歯すると、腫れて強い痛みがでるイメージがありますが、手術中は麻酔を使うのでほとんど痛みを感じることはありません。 しかし、問題は手術後のズキズキとした痛みです。
- 腫れ
- 親知らずの抜歯後12時間程度はどんどん腫れていきます。
24時間~36時間程度で腫れはピークになり、その後7~10日程度で落ち着いてきます。
- 痛み
- 麻酔は術後30分~1時間程度で効果が切れるので、その後にどんどん痛みがでてきます。
完全に痛みがなくなるのは7~10日程度かかります。
- 口が開きにくくなる
- 口を開けるための筋肉にも炎症が及ぶので、口が開きにくくなります。
- 出血
- 術後は1~2日程度、唾液の中に血が混ざります。
- 内出血
- 人によって内出血が起こる場合があり、青紫色になりますが、2週間程度でなくなります。
- しびれ
- 舌などにしびれが起こることがあり、それと同時に、しびれに生じた味覚障害が起こることもありますが、これも数日で収まります。
- 鼻から空気や水が漏れる
- 親知らずを抜いた穴と、鼻(上顎洞が交通する)が繋がる場合があります。
そうなってしまうと、口と鼻がつながり空気や水が漏れる場合があります。
穴が自然に閉じることが多いので、ふさがったら治ります。
- ドライソケット
- 抜歯後は、親知らずを抜いた部分の歯茎に穴があきます。
そこに血が溜まって徐々に治るのですが、何かの拍子に溜まった血が取れてしまう(20人に1人くらい起こります)と、その部分に強い痛みがでてきます。 この状態ことを、ドライソケットと呼びます。
ドライソケットになってしまうと痛みが長引くため、当院では、そうならないために手術後もしっかりと指導させて頂いております。
ドライソケットになると、治るまでに10~14日程度かかります。
- 抜歯後の痛みと抜歯にかかる時間は比例します
- 抜歯後の痛みは、手術にかかる時間が長ければ長いほど、痛みも強くなる傾向があります。
親知らずの抜歯後、完治するまでの注意事項
抜歯後、歯肉が治るまでに1ヶ月ほどかかり、さらに骨が完全に治るまでは3ヶ月程度かかります。
- 食事
- 手術後、食事は3時間は空けてください。
口の中を手術しますので、お粥や豆腐、スープ、ヨーグルト、ゼリーなどの流動食や半固形食を食べましょう。
傷の治りとともに、少しずつ固さのあるものも食べれらるようになります。
- 飲酒・運動・入浴
- 飲酒・運動・入浴は血圧が上昇し傷口が開く可能性がありますので、術後は絶対に行ってはいけません。
ぬるめのシャワーを浴びる程度なら大丈夫です。
- 歯磨き
- 手術後や抜歯後は、傷口にふれないようにして、ほかの歯は磨いても大丈夫です。
うがいも出血しないように軽く行います。傷口は1週間程度避けてください。
親知らずを抜くと顔が小さくなる?
親知らずを抜くと顔が小さくなるという場合もあります。
- 親知らずの周りの骨が痩せる
- 下の歯の親知らずは、エラのあたり歯が生えている場合がありますので、抜歯をすると若干ではありますがほっそりする可能性があります。
- 顎の筋肉が痩せる
- しっかり上下で噛み合うように生えていた親知らずの場合、噛むために使っていた筋肉が使われなくなって、少し小顔になる場合があります。
どちらの場合も、抜歯による影響は微々たるものですので、あまり小顔効果は期待しないほうが良いでしょう。