こんにちは!不動前ステーション歯科・矯正歯科の小林です!
梅雨があけて猛暑日が続いていますね・・
みなさま体調にはお気をつけくださいね。
さて、本日は『お口の中の細菌』についてお話ししたいと思います。
口腔内の細菌はどのように定着するのでしょうか?
胎児の口腔内は、元々無菌です。
出生の過程や母親などの養育者から受動的に細菌をもらうことになります。
新生児の口腔内へ最初に定着する菌種は、先駆細菌と呼ばれており、口腔レンサ球菌であることが多いです。
この菌種は成人の唾液中に多く認められる菌種です。
その後乳歯の萌出とともに細菌叢が変化していきます。
<唾液に含まれる抗菌物質>
私たちの唾液には、細菌やウイルスに抵抗するための様々な抗菌物質が存在します。
どのようなものがあるのか見ていきましょう。
・分泌型IgA:口腔粘膜の免疫機構として働きます。唾液腺の周囲に存在する形質細胞で産生され、腺上皮細胞を通過する際に、分泌成分を付加されて唾液中に分泌されます。細菌やウイルスの組織への付着・吸着を阻害します。
・ムチン:細菌に結合し唾液中で凝集塊を形成することにより口腔粘膜への付着を阻害します。
・リゾチーム:細胞壁分解酵素で、細菌を溶解します。
・ラクトフェリン:鉄結合能を有し、細菌の増殖に必要な鉄を環境中から奪います。
・ヒスタチン:アミノ酸であるヒスチジンを多く含むタンパク質で、3種類のファミリーがあり、主に抗真菌作用を有します。
・ディフェンシン:唾液腺、好中球、歯肉上皮細胞などにより産生されます。主にα型とβ型があり、細菌、真菌、ウイルスに広く抑制活性を有します。
・その他:ペルオキシダーゼ、シスタチン、スリピ(SLIP)などが、抗微生物活性を有します。
<唾液に含まれる細菌叢>
唾液は唾液腺から分泌されますが、分泌直後の唾液中には細菌は存在しません。
唾液中に存在する細菌は外界から入ってきた細菌、また、歯や粘膜から剥がれ落ちた細菌ですが、細菌叢という点では一定の平衡状態が保たれています。
つまり、食事や飲食などの口腔内環境の変化にもかかわらず唾液細菌叢には特定の菌種が認められます。
唾液中に最も多い菌はレンサ球菌で、中でもS.salivaliusやS.sanguinisが高頻度で認められます。
1日のうちでは起床直後が細菌が多く、食事直後では少なくなります。
これは、食事直後は、飲食に伴う嚥下などにより細菌数は減少し、嚥下作用のない就寝時には、細菌数が増殖するためです。