こんにちは、不動前ステーション歯科・矯正歯科の小林です(^^)
本日は『子供の口腔にみられる異常と疾患』についてお話します。
子供にはおたふく風邪やみずぼうそうなど、小児期特有の病気があります。
そしてこれらの疾患が発症するときには、口腔内にも何かしらの症状が見られます。
<口腔粘膜にみられる疾患>
①ヘルペス(疱疹)性口内炎
単純ヘルペスウイルスの初感染による歯肉口内炎で、2~5歳の小児に発症します。飛沫感染で潜伏期は1週間程度です。
発熱、歯肉の浮腫性の炎症と特徴的な水疱が歯肉、口唇、舌、頬粘膜、口蓋粘膜などに出現します。
食物を摂取しようとしても激しい痛みのため、乳幼児では水分や食物の摂取ができなくなることがあり、水分や栄養補給をしなければなりません。
臨床症状は2週間程で消退し、潰瘍は跡を残さず治ります。
ごくまれに重篤な合併症として無菌性髄膜炎や脳症を引き起こすことがあります。
②アフタ性口内炎
原因は不明で、アレルギー、ビタミン欠乏、ストレスなど、免疫力の低下とも考えられています。
口腔粘膜に直径1~10㎜の孤立性の円形の小潰瘍が発生し、痛みがあります。
処置は口腔内の洗浄、軟膏塗布などの対処療法が行われます。
通常は2週間程度で治癒します。
③麻疹
麻疹ウイルスの感染症で、一般に”はしか”と呼ばれているものです。発疹の出現する2~4日前に、両側の奥歯あたりの頬粘膜に周囲が発赤した白色の斑点が現れます。これは「コプリック斑」と呼ばれ、麻疹の診断には非常に重要です。
麻疹は空気感染するので、感染力が極めて高く、学校においては出席停止になります。
コプリック斑が見られたらすぐに小児科を受診するようにしましょう。
④水痘(帯状疱疹)
水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。
初感染時の症状が水痘で、10歳以下の小児に発症します。一般に”みずぼうそう”と呼ばれています。
初感染の治癒後、神経節などに潜伏したウイルスが50歳以上になって再活性化して出現する症状が帯状疱疹です。
⑤エンテロウイルス感染症
エンテロウイルスはいわゆる”夏かぜ”の病原ウイルスです。
発熱などのかぜ症状に加えて、口腔に症状を示す多様な発疹性疾患を引き起こします。
経過は一般的に良好で、治療は対処療法を行います。
(1)ヘルパンギーナ
コクサッキーA型ウイルスによるものが多く、乳幼児期に春から夏にかけて流行します。
軟口蓋部(上あごの奥の方)に特徴的な水泡ができますが、すぐに壊れて潰瘍となり咽頭痛や嚥下困難を引き起こします。
(2)手足口病
コクサッキーA型あるいはエンテロ71型ウイルスによる感染症で、手掌、足底、口腔粘膜に水泡性発疹がみられます。
⑥口腔カンジダ症
口唇、頬、口蓋、舌の粘膜に白い膜のようなもの(白苔)が生じます。
抗がん剤治療などで免疫機能が低下した場合や抗菌薬治療によって菌交代現象が起きた場合などに日和見感染としてみられます。
治療は口腔内清掃と抗真菌薬の服用や塗布を行います。
お子さまの仕上げ磨きなどの際には、歯だけではなく周囲の粘膜状態にも注意してみてください。
何かいつもと違うなと思ったらお気軽にご相談ください。