むし歯のエコロジーは乳幼児期から学齢期、成人期、さらには老年期へと過程を経るので、それぞれのライフステージごとに発生するむし歯の種類が異なります。
乳幼児期では乳歯のむし歯が問題となり、学齢期では徐々に永久歯のむし歯へと変化していきます。
さらに、成人期から老年期にかけては、歯根面のむし歯や一度治療している歯のむし歯の再発が増加してくるため、ライフステージに応じた予防手段とその組み合わせが必要になります。
ライフステージ別のフッ化物(フッ素)応用方法が以下になります。
0~2歳
洗口が不可能なことと急性毒性に配慮したフッ化物の応用が望まれます。
したがって、歯科医院でのフッ素塗布、
ホームケアとしては低濃度(500ppm)フッ化物配合ジェルまたは安全性の観点からフォームタイプのフッ化物使用が推奨されます。
3~5歳
ホームケアとしての配合歯フッ化物磨剤の応用が必要となります。しかし安全性を考慮した場合には、使用料の少ないフォームタイプの歯磨剤や通常濃度より低い500ppmフッ化ナトリウム配合歯磨剤が適切です。
また、ハイリスク児への対応としては、フッ化物洗口とフッ化物添加フロスの併用も効果的です。
保育園や幼稚園におけるコミュニティヘルスケアとしてのフッ化物洗口は4歳以降が適切です。
6~12歳
学齢期になると、ホームケアとしては成人と同じフッ化物製剤を使用することができるようになります。萌出直後の未成熟な永久歯に対するプロフェッショナルケアとしてのフッ化物歯面塗布が効果的な時期でもあります。
この時期のコミュニティヘルスケアよして最も効果的な手段はスクールベースのフッ化物洗口の実施であります。
13歳から成人へ
コミュニティヘルスケアとしてのフッ化物洗口は中学生まで継続すべきであり、ホームケアとしての各種フッ化物応用法と組み合わせてむし歯予防を推進すべきであります。
成人期以降のむし歯予防は、歯根面のむし歯や一度治療している歯のむし歯の再発に対しての予防が第一であり、歯周病などむし歯以外の歯科疾患も念頭におく必要があります。
したがって、ホームケアとしての」フッ化物配合歯磨剤も抗菌成分や炎症性成分を含んだものを選択することが望ましく、さらに、フッ化物添加フロスや洗口剤との併用も推奨される。
中高生から老年期
この時期は、歯周病の好発時期でもあることから、歯周病の治療後はプロフェッショナルケアとしてフッ化物配合研磨ペーストで歯面清掃を行い、歯根面のむし歯予防も念頭においたフッ化物歯面塗布を応用することが推奨されます。