こんにちは!不動前ステーション歯科・矯正歯科の小林です(^^♪
本日も前回に引き続き『歯周基本治療の内容』についてお話します。
〈4.咬合調整〉
歯周炎が進行すると歯は挺出(歯が伸びてくる)や傾斜といった病的な移動を起こします。
その結果、既存の咬合関係は乱れ、早期接触や咬合干渉などの外傷性咬合を引き起こしやすい歯列となり、歯槽骨吸収や歯の動揺の増加といった歯周炎を悪化させる大きな因子となります。
咬合調整は異常な咬合接触部を削合することによりこのような過剰な咬合力を除去し、歯周組織の安静化をはかる目的で行われます。
〈5.暫間固定〉
暫間固定の目的は、咬合力を多数歯に分散し、歯の動揺を抑えることにより歯周組織を安静化し、炎症の軽減を図ることです。
暫間固定は動揺が著しく、患者自身が疼痛などの不快症状を訴えている場合や咀嚼機能に障害がある場合には早期に行いますが、基本的にはプラークコントロールにより炎症を軽減し、咬合調整を行っても安定した咬合状態が得られない場合に行う処置です。
また歯周外科治療を行うと、術後一時的に動揺が増すため、予め外科手術前に暫間固定を行う場合があります。
暫間固定は一定期間、歯周組織の状態の変化を観察し、歯の保存の可否を判断するために行うもので、
後に固定は除去されます。
実際の固定法は、内側性固定法と外側性固定法に分類されます。
内側性固定法にはA-スプリントが、外側性固定法にはエナメルボンディングレジン固定法やワイヤー結紮レジン固定法などがあります。
〈6.抜歯〉
診査、診断のもと治療計画を立案するなかで保存不可能と判断した歯は歯周基本治療中に抜歯を行うことがあります。
①う蝕が深部まで及ぶ歯
②動揺が著しい歯
③分岐部病変が重度に進行している歯
④明らかな破折歯
上記に該当する歯は基本的に抜歯となりますが、抜歯か否かを迷う場合はまず保存し、歯周基本治療後の再評価時に改めて決定します。
〈7.治療用装置〉
歯の喪失により適切な咬合支持が得られない場合や歯周基本治療中に抜歯により欠損部が生じた場合には、暫間被覆冠(仮歯)による固定性ブリッジや治療用床装置である可撤性有床義歯により、暫間的な咬合機能の回復をはかる必要があります。
これにより口腔機能が回復できるだけでなく、残存歯への咬合負担が減少し、歯周組織の安静を図ることができます。
①治療用床装置
欠損歯が多数あるため、残存歯のみでは適切な咬合支持が得られない場合や、咀嚼障害や審美障害がある場合、最終補綴を行うまでに歯周治療を行う必要がある場合には治療用床装置としての可撤性有床義歯を製作します。
②暫間被覆冠
不良補綴物を除去した後、アクリリックレジンによる暫間被覆冠を装着します。
プラークコントロールを容易にし、適切な咬合関係、バーティカルストップおよびアンテリアガイダンスを与えることが可能になります。
また、暫間被覆冠を連結することで暫間固定を兼ねることもできます。