こんにちは、不動前ステーション歯科・矯正歯科の小林です(^^)
本日は歯周病の原因についてお話しします。
歯周病の原因は、細菌因子、宿主因子、環境因子に大別されます。
<細菌因子>
細菌因子の主たるものはプラーク(歯垢)です。
プラークは歯の表面に付着した細菌の塊です。
口腔内細菌叢は生体内でも特に複雑な細菌叢であり、500~600もの菌種が同定されています。
その中でも歯周病原細菌とされるものは10~15種程度です。
進行した歯周病を有する患者の口腔内からは、Porphyromonas gingivalis, Tannerella forsythia, Treponema denticolaが多く検出されることが報告されている。
これらの細菌は、内毒素、タンパク質分解酵素などの病原性因子を有することから歯周炎の発症と進行に密接に関連している細菌群としてレッドコンプレックスとして定義されています。
ここで重要なことは、歯周病が単独の病原細菌による単独感染症ではなく、その発症には病原細菌の占める割合の増加など、プラーク全体の病原性の増大が大きな役割を果たしているということです。
<宿主因子>
①プラークリテンションファクター(炎症性修飾因子)
以下の因子が存在するとプラークの蓄積量が増加し炎症が亢進してしまいます。
・歯石:歯石の表面は粗造であるため、プラークが付着しやすくなっています。歯周治療の成否には歯石を確実に除去することが重要となってきます。
・虫歯:辺縁歯肉付近に虫歯が存在すると、その周辺にプラークが蓄積し、歯肉炎や歯周炎を発症・進行させることがあります。
・不適合修復物・補綴物:不適合部にプラークが蓄積しやすくなります。歯周基本治療中に適合性を改善するか、暫間被覆冠への置き換えなどが必要になります。
・口呼吸:口呼吸の患者では、上顎前歯部などの局所が乾燥状態に陥り、自浄作用が低下し、プラークの蓄積量が増加していることが多く見受けられます。口呼吸が疑われる者に見られる特徴的な口腔内所見として、口呼吸線とテンションリッジがあります。
口呼吸線とは、前歯部の唇側歯肉の発赤、腫脹で、その位置は閉鎖不全を起こした状態の口唇のラインと一致します。
テンションリッジは、口蓋側の歯肉にみられる堤状の腫脹で、その内側の歯頚部歯肉には強い炎症所見がみられます。
口呼吸の原因を探り、矯正治療、口唇閉鎖訓練などにより症状の改善を図るべきとされています。
・咬合異常、歯列不正
咬合異常や歯列不正があると、自浄作用が低下し、またプラークコントロールが困難となる場合が多く見受けられます。
・歯周ポケット
特に深い歯周ポケットにおいては、歯ブラシなどの口腔清掃用具がポケットの深い位置まで到達せず、プラークが停滞しやすい状態に陥っています。
・歯の形態異常
口蓋裂溝、根面溝、エナメル真珠、エナメル突起などの歯の形態異常はプラークリテンションファクターとして働き、歯周組織の破壊が助長されることがありめす。
<外傷性修飾因子>
・外傷性咬合
外傷性咬合の影響を受けた歯周組織では、エックス線写真で歯根膜腔の拡大像、垂直性骨吸収像、根尖部の透過像が認められます。
咬合調整によって外傷性咬合を取り除くとエックス線写真所見や臨床所見は消失します。
一方で、歯周炎に罹患している歯に咬合性外傷が加わると歯周組織の破壊が進行してしまいます。
・ブラキシズム
咀嚼時以外に上下の歯が長時間接触している状態として、歯ぎしり(グラインディング)、くいしばり(クレンチング)、カチカチと音をさせる(タッピング)、などの習癖状態があります。
これらは歯周組織に対して咬合性外傷として作用することが多いため、悪習癖(ブラキシズム)と呼ばれます。
・舌や口唇の悪習癖
咀嚼時や嚥下時に舌や口唇を歯に強く押しつける習癖は歯周組織に外傷力として働くことがあります。
さらに、悪習癖によって歯列不正を生じ、歯周病の悪化につながることがあります。
・職業的習慣
職業上の理由によって、日常的に歯と歯の間に物を挟んで咬む、歯でものを割く、歯を強く食い縛るなどの習癖は、歯周組織に対して外傷力として働くことがあります。
次回は、歯周病の原因として、「全身的な修飾因子」と「環境因子」についてお話しします。